犬もねこも幸せになる権利がある ~動物愛護団体 うみねこ~

うみニティ編集室うみっと

>>うみっとの新聞に掲載した内容を再取材・再編集しています。

地域猫活動ってなに?

地域猫活動とは、地域猫活動への理解がある地域でお世話をしているねこたちのことを言います。
各行政区の自治会長さんや地域のみなさんに、どんな活動なのかを説明したうえで
飼育する許可をもらっています。「TNR活動」と呼ばれ、全国で展開されている
保護活動です。

宇美町では動物愛護団体うみねこさんが各行政区への説明会を通して地域猫への理解と
協力を求めています。

ここで、地域猫活動についての基礎知識をおさらいします。

TNRの内容は?

  • T=Trap(トラップ)捕獲器を使って保護します
  • N=Newter(ニューター)不妊・去勢手術をします
  • R=Return(リターン)もとの場所へ戻します

【トラップ】
ねこたちは捕獲器を使って保護するのですが、警戒心が強いねことの根比べになります。ご飯につられて素直に入ってくれる子もいれば、2~3か月かかってやっと入る子、長いときは数年かかる子(!)もいるのだとか。

放置されるねこの数に対して捕獲器の数が慢性的に不足しているのと、一時預かりボランティアさんの不足が重なりパンク状態が続いています。

【ニューター】
保護したねこは必要に応じて不妊・去勢手術を行います。不妊・去勢手術の助成制度については県と市町村で対応が変わります。
チケットを発行してくれる回数や助成金の上限額が決まっているため、基本はボランティアさんの実費です。不妊手術は1匹につき1万~2万円。子ねこの場合、成長をまって生後6か月の時点で手術を行います。

不妊・去勢手術をした証に耳をV字にカットします。安全のために全身麻酔をしてオスが右耳、メスが左耳をカット、耳の形が桜の花びらに見えることから幸せを願って「さくらねこ」と呼んでいます。

【リターン】
不妊・去勢手術が終わって体調が戻ったら、もとの場所へ戻します。
誤解を招くことが多いのですが、TNR活動はご飯を与えるだけでなく環境を保つための整備も行っています。

TNR活動は一代限りの命を地域全体で見守る活動です。

人間の晩ご飯はお世話のあと

管理人のスマホに連絡があったのは22時過ぎ。「人間のご飯は後回しですか?」「そうよ~これが毎日当たり前になってるから」保護している犬ねこ優先、ご飯をつくって食べさせるのに平均2時間かかります。

働きながらのボランティア活動、それも犬ねこたちの医療費やご飯代のために働いているようなものだといいます。安河内さん自身の晩ご飯は深夜1時になることがほとんどで、電話があったときも自宅で保護している犬やねこのご飯をつくりながらこちらの質問に答えてくれました。

新聞にもたびたびうみねこの活動が取り上げられ、知名度があがったのはいいのですが連絡先を載せたことで1日に一度は必ず携帯が鳴るそうです。
「“保護団体”とはしていますが犬やねこを預かるための団体ではないんです。飼うためのアドバイスならわかる範囲でいくらでも話しますが“困っているので引き取ってください”という電話には応えられません」

※2020年12月現在も保護の依頼や引き取りのお電話があるそうですが、一切受け付けていませんのでご注意ください。

くりかえす飼育放棄

うみねこさんを手伝ううみっとのメンバーからの連絡とFacebookで、生まれたての子ねこをレスキューしたと聞きました。

なんでも散歩途中、紙袋に入れられた子ねこを偶然散歩道を通りがかったところで発見したらしい。へその緒がついたまま目も開いていない子ねこを見たとき「少し前ならそのままにしていたと思う。初めて保護するのにドキドキした!」とうみっとメンバーのお子さんが話していたそうです。

子ねこを一時保護したメンバーは「小さな命を見捨てない、心の優しい子に育ってくれてよかった」というコメントが添えられていました。

この話だけだと美談に聞こえますが、紙袋に入れられた子ねこたちは偶然見つけてもらえたからよかったものの、人があまり通らない場所に紙袋が置かれていて、雨に濡れ衰弱した状態で保護されたと聞けば悪意をもって捨てたと捉えられてもおかしくない。紙袋に入れられたら自力で這(は)い出すのは不可能、小さな命は見つけてもらわなければその場で力尽(つ)きるしか道はありませんでした。

同じ地域で発見されたのは今回で4回目。そう、初めての話ではないのが問題なのです。ボランティアさんの話では自宅前に無断で子ねこを置いていく人がいるということ、誰かが助けてくれると踏んで捨てる人が後を絶たないのだと話していました。

今までのレスキューで子ねこが108匹になり、その後に開催された譲渡会で飼い主さんが決まって、1/3まで数が減ったそうです。

乳離れしていない子ねこを育てるには、大量のミルクとご飯代、労力がかかります。ミルクは数時間おき、自力で排泄できないため本来母ねこがするお世話を人が代わりに行います。自分でご飯を食べ、トイレを覚えるようになるまで目が離せません。

子犬・子ねこを育てるのは、人の赤ちゃんを育てるのと同じです。年齢を重ねれば犬にもねこにも介護がついてきます。予防注射が必要で人と同じ病気にかかり治療のため病院に行くことがあります。

多頭飼育の大変さもあって、自分では処分できないからその辺に捨てる。他人に責任を丸投げし命をゴミのように捨てる行為の異常さに気付いてもらいたいです。

うみねこが主催している譲渡会(プライバシー保護の観点から写真の一部を加工しています)

うみねこさんの思い

「1匹でも幸せになれるようにトライアルでしっかり見極めています」と話すうみねこの安河内さん。

譲渡会では基本的にその場でねこや犬を連れ帰ることはできません。申し込み用紙にサインし仮予約をしたあと、迎える環境が整ったことを確認して譲渡先で一定期間のトライアルを行います。犬やねこが譲渡先の環境に馴染めるかどうかを試す大事な期間です。うみねこのボランティアさんが生活する家の環境を見極め、充分な環境だと判断されたら正式な譲渡になります。

トライアルまでに準備してもらいたいもの(譲渡会の会場で渡される資料より抜粋)

  • ケージもしくは脱走対策をした隔離できる部屋
  • トイレと砂、ご飯とお水の容器、ベッド、キャリー、首輪などの準備
  • ねこが安心して隠れられる場所の確保

室内の放し飼いだと何かの拍子に外へ脱走するねこがいます。室内飼いでまったく外を知らないねこは、外で生きていくのが当然厳しくなります。ケージか隔離できるお部屋があると安全です。

首輪は飼いねこであることの証になります。ペットショップの犬やねこはマイクロチップを埋め込んで飼い主さんの情報がわかるようになっていますが、体内に埋め込むため見た目ではわかりません。首輪があれば飼いねこだと見た目で判断でき、迷子札で命をつなぐこともあります。

ねこは狭い場所が大好きです。管理人と同居していたねこも押し入れによく入っていました。お部屋が見渡せる場所にねこの専用スペースがあると落ち着きます。

せまくて隠れんぼできる場所が大好きだニャン!


家族の一員として最期まで受け入れてほしい。譲渡会では誓約書に書かれている約束事に目を通してもらい、すべての内容を承諾したうえでサインをします。
紙の誓約書は保険にすぎませんが、命を譲り受ける以上は責任をもつことを約束する。言葉では簡単でも継続の難しさが保健所で殺処分される犬やねこの数字となって表れているのではないでしょうか。

福岡市では2019年度の犬、ねこの殺処分がゼロになったとニュースで伝えました。このことについては大いに語弊があり、あくまで福岡市が把握している数字で、現状として一時預かりボランティアさんが苦慮している状況は変わっていないといいます。

安河内さんの話を聞いている中で、気になることがありました。それはネット上の一般の人の評価は見ないというもの、誰でも中傷や誹謗をされたら傷つくのは当然です。TNR活動が必ずしも地域で受け入れられているとは限らないところに理由があります。

世の中にはねこが苦手な人、ねこは好きだけど動物アレルギーで飼えない人、野良猫に迷惑している人、批判する理由は様々ですが地域猫活動を否定する人たちがいます。単なる偽善者で片付けたり、エサをばらまくだけで無責任だという声が多いようです。

うわべだけではないTNR活動の内容を知ってもらえたら「共生」する意味がもっと広まるのではと思います。

保護活動をするのはボランティアさんの勝手、自己満足かもしれない。批判している人たちに言いたいのは、批判する前になぜそのような活動が必要になったのかを考えてもらいたいのです。

譲渡会に来るねこたちの目はどこか寂し気で切なくなります

責めるべきは犬やねこに不妊・去勢手術を受けさせず無計画で生ませ、その辺に捨てる一部の心無い人たちであって、自腹で費用を捻出し保護活動をしているボランティアさんではありません。

ご飯代・医療費で約35万という数字は、ボランティア活動の領域を超えています。

野良猫はもともと野良じゃなかったはず、どこかで捨てられたねこから生まれたのかもしれない。犬やねこがもし話せるなら「好きで野良や地域猫になったんじゃない!」そんな言葉が聞こえてきそうですね。

かわいさや興味だけで「玩具」として飼うのはやめてほしい。命あるものを迎えるならそれだけの覚悟をもって向き合うことが大切です。

★宇美町で活動するボランティア団体を知りたい方はこちら
★動物愛護団体うみねこさんのFacebookはこちら
現在も200匹を超える子ねこの対応をしており、保護の依頼は一切受け付けていません
現在動物愛護団体うみねこでは物資・医療費の支援をお願いしています。
物資の詳細ついてはうみねこさんのFacebookをご覧ください。

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